農村つながり体験事業(H22~)

 

取り組みの概要

 この事業では、町の子どもに対し、第一次産業の大切さと価値観を再認識する機会を与え、共同生活を通して思いやりの心や、豊かな人間性、社会規範意識を育むことを目的としています。
 浦幌町は豊かな自然に恵まれ、農業や林業、漁業といった第一次産業の盛んな町です。学校での授業やコミュニティ・スクールでも地域の産業について学ぶ機会はありますが、この事業では子ども達がそこに携わる人々の生活まで体験できる機会を提供しています。このような体験は、農村部の町でなければ経験できない貴重な体験です。
 そこで、町内の小学生を対象に、町内の農林漁家の家庭での生活体験を実施し、食や命の大切さ、そして第一次産業の重要性を肌で感じながら、地域の人々とのつながりを育む活動を行っています。

 

取り組みの効果

 子ども達は、実際に一次産業に触れ、目で見て肌で感じることができます。そのような経験を通じ、食べ物への感謝の心・生産者への想い・生産地に暮らしていることへの誇りなど、様々なことに気付くことができます。地域の温かさに触れることによって、人とのつながりを学ぶと同時に、産業についてだけでなく、知らない家庭で共同生活をしながら礼儀や挨拶の必要性を学びます。様々な人と関わることで、子ども達の人間性も育まれるのです。
 この活動を通して子ども達が気付き、身につける様々な力は、今後、子ども達が社会を生きぬいていく上で、とても重要となります。こういった活動こそが将来を担う地域人材育成のカギとなっていくでしょう。

 

命を学ぶ「食のつながり体験」

分業化・都市化が進み、食べ物の生産現場を知る機会が少なくなる中、子どもたちの日々の暮らしに直結する「食」の生産の場で、農作物等を収穫し、調理して食べる体験を通じ、命や食べ物の大切さ、つながりを学びます。

絆を深める「心のつながり体験」

1泊2日の農林漁家庭での生活体験などを通じて、これまで触れる機会のなかった人、暮らし、仕事、考え方に直接触れる場を提供し、家族とのふれあい、地域の温かさにを感じるとともに、思いやりの心などの社会性を学ぶ機会を創り出します。

食のまち「浦幌」の価値の実感

日本の食料自給率が現在約40%。その中において浦幌は2900%を誇る一大生産地です。生産現場での体験を通じ、命の糧である「食」を生産し、担い続けている地域に生きることへの誇りと産地の大切さ、産地を守る気持ちを育成していきます。

 

まちの魅力やたくさんの愛情に包まれて

 学校は、地域社会を基盤として存在するものです。子どもたちは、地域で生まれ、地域で育っていきます。したがって、子どもたちの健全な育成のためには、家庭や地域との連携・協働は欠かせません。今、“よりよい学校教育を通じてよりよい社会を創る”という目標を学校と社会が共有し、新しい時代を切り拓くための資質・能力を子どもたちに育むことが求められています。「うらほろスタイル教育」の目指す姿も、まさにそこにあるのです。平成22年から始まり、町内の小学校5年生が毎年行っている「民泊体験学習」は、その最たるものであり、まちの魅力やたくさんの愛情に包まれた探究的な学習活動です。農林漁家にお世話になり、浦幌町の「ひと・もの・こと」とのつながりの中で、子どもたちの生き生きとした学びの姿が現れています。豊かな感性は、自分の生活する地域社会や地域住民と関わる中で育まれてきます。小中一貫コミュニティ・スクールと一体となって「うらほろスタイル教育」は進展しています。

浦幌小学校 校長 横山 利幸

 

農村つながり体験事業によせる想い

 私達が次世代を担う子ども達に伝える事は何なのか…?
町に住んでいて身近に第一次産業があるのにも関わらず、第一次産業やそれに携わる人々がどのような暮らしをしているのか知らない子どもたちが多い現状があります。子ども達が生きるための食糧の生産現場で農業や漁業、林業等に関わる家庭での宿泊生活体験を通して、食や命の大切さ、そして第一次産業を目で見て触れて肌で感じることにより理解を深め、地域の人と人との触れ合い、そこで暮らす人々の心のぬくもりや、人としての価値観を再認識するとともに、食べ物への感謝の心・生産者への思い・生産地に暮らしている事への誇りなどに気付き、他人の家で生活する事により礼儀や挨拶など様々な人間性を育むことが重要です。学校、保護者、地域全体で次世代を担う子ども達の教育に関わり、地域の人材育成の場をつくることが今求められています。

うらほろ子ども食のプロジェクト 事務局長 岡田 愛啓